こんな「名盤」は、いらない!
こんな「名盤」は、いらない!

これは平成12年12月9日に書いた「クラシック、マジでやばい話」のシリーズの第1作目である。この本の紹介はらむ郎さんに遅れてしまった(^^;。

「評論家がこぞって誉めているようなCDに失望したことはないだろうか。」

と序文に書いてあるとおりこれまで名盤とされていたものを再評価(ちょっとやわらかい表現(笑))して提示しようと言うものである。

だからこの中にはあるいは自分が「凄く良い!」と思っている演奏がこきおろされている可能性がある。あるいはそれまで自分が「良い演奏」と思っていたものが批判されているかもしれない。私の例で言えば、フルトヴェングラーのベートーヴェンだろうか。とは言え、この節もフルトヴェングラーのスタジオ録音に関する問題点を主眼としていてる。だから直撃を食らった訳ではない(笑)。


逆に、「そうだよ。」と言う節はある。

実は朝比奈隆指揮のブルックナーの節である。実は私はこれまでレコード批評を読んで朝比奈のブルックナーは良い演奏だと思っていた。正確には良い演奏なのだろうと思っていた。だが実際交響曲第8番のCDを聴いてもちっともくるものがない。テ・デウムを聴いても感動しない。こんな訳だから家でこれら朝比奈のCDをかける機会は極めて少なかった。そしてしっくりこなかった。だがここに、朝比奈の演奏の批判があるではないか。そうかそうだったのか。僕はここに居てもいいんだ(ちょっと違う)。

もっとも一介の会社員の私が聴いてる朝比奈の演奏なんてほんの一部にすぎない。だから私がどうこう言ったところで朝比奈の演奏が悪いとか、そう言う事を言ってる訳ではない。と言う事で朝比奈ファンの皆さん、許して下さい(笑)。

とは言え、ブルックナーで私の好きな演奏はクナッパーツブッシュであって、この本の著者の許氏の推すヴァントではない。クナッパーツブッシュを推す、と言うあたりで私の聴き方も怪しいものかもしれない(ほらね)。まあいいじゃないか、要は自分が堪能できる演奏がつかめるならば(って、この本の主旨と正反対になった気がするな)。

オペラ大爆発!

ついでだからこの本のシリーズ第2作目の「オペラ大爆発!」にも触れておこう。この本は正直言ってあまり私には楽しめなかった。が、一番読めたのは新国立劇場のくだりであった。もっともハコの悪口よりも運営の悪口(と言うか批判)の方がメインであった。実は何を隠そう私は未だ新国立劇場に行った事が無い。どうもみたいものが無くて。どこかで聞いた話では、今後何年か計画で指輪の上演をやるらしいが、何年計画と言われても困る。4夜連続とは言わないが、続けて堪能させてもらいたい。が、この本に書かれている通りだったりすると演出も歌手も演奏も期待出来そうにない(ハコ見に行くだけか?)。


第二国立劇場(仮称)設計コンペ模型

ハコの悪口も勿論書かれている。行った事は無いが面白い資料があるので載せておこう。

この新国立劇場は公開コンペが行われた。昭和60年7月26日から応募者の登録が始まり、同年9月17日に締め切られた。応募作品の締め切りは昭和61年4月15日。有効受理数は228作品。この中から柳沢孝彦(竹中工務店)の物(左写真が模型)が最優秀作品に選ばれた。審査講評から抜粋すると「日本人好みの端正で格調ある外観と、風格のある内部空間へのアプローチは、劇場の雰囲気を十分に演出し、これから始まるであろう上演への期待を抱かせるのに十分である。」何だ?「オペラ大爆発!」で書かれてるのと大分違う印象だが(笑)。

ちょっと建築を弁護しておくと昭和60年はバブル前である。バブルを経験してしまった今の我々にとってはそれ以前に計画された公共の建築物の印象は無機質に思われるであろう。新国立劇場もバブル絶頂期に計画されていたら、バブルの塔たる都庁を遙かに凌駕するバブルの殿堂になっていたかもしれない。コンペの結果は昭和61年7月号の「新建築」に載っている。この号を見た当時、劇場建築の設計に夢をはせて絵を描いたものだった。


 許 光俊 編著「こんな「名盤」は、いらない!」
 青弓社 本体1600円
 ISBN4-7872-7117-2
 許 光俊 編著「オペラ大爆発!」
 青弓社 本体1600円
 ISBN4-7872-7125-3
平成12年師走24日


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